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協働のための資料集

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■NPOと行政のパートナーシップのあり方

第2章 協働の事例分析<2>

B 日本国内での協働の事例

 2000年11月〜12月にかけて、全国で協働事業・活動を行っていると思われるNPOや自治体にアンケート調査を行った。アンケート結果については、21ページを参照。

ここでは、その際調べた協働事例について、タイプ別に分類を試みた。細かく見ると、協働に至るための準備段階のもの(1.)と、協働活動を実際にやっているもの(2.)とに分けられ、事例を紹介しながら、それぞれの特徴を分析した。

1.協働に向けたインフラ整備

[1]NPO支援型

 これ自身は協働ではないが、協働をめざしつつ、行政がNPOを資金面・技術面・情報面等において支援しているパターン。

 協働を実現していくためのプロセスと考えれば、その最も初期の段階に当たる。

(事例1等)

[2]協働準備型

 協働をめざして行政内部でNPOを理解し、協働型行政に変えていこうとするパターン。行政自身の自己改革による協働に向けての条件整備である。

(事例2,3等)

<事例1>社会貢献活動推進支援条例の制定やたんぽぽファンドの創設(高知県)

社会貢献活動の理念や支援策について条例化するとともに、総合拠点センターを平成11年に設立。そして活動の財政基盤について「公益信託こうちNPO地域社会づくりファンド(たんぽぽファンド)」を創設し、民間と行政のパートナーシップによる新しい社会づくりを推進する。対象はNPO法人を含め総ての団体に開かれ、助成件数は年間10〜15件程度。学識経験者などで構成する公開審査会でプレゼンテーションを行い、運営委員会の選考で決定する。金額は1件当たり50万円を限度としている。

<事例2>公平な協働の促進と透明性確保のための補助金制度見直し(我孫子市)

市民と企業と行政が協働してまちづくりを行うにあたり公平性と透明性の確保のために既存補助金等を分類し、全面的に見直しをした。限られた財源を効果的に配分するためのしくみづくりを行い、より適正かつ効果的に市民活動団体等に補助金を交付するため既得権にとらわれずに見直した。

<事例3>箕面市非営利公益市民活動促進条例制定等のルールづくり(箕面市)

市民の社会貢献活動のより一層の発展を促進するための基本理念を定め、市の責務や市民、事業者および非営利公益市民活動団体の役割を明らかにし、市民活動の促進に関する基本的な事項を定める。公募委員等からなる促進委員会を設置し、助成や補助、契約のあり方等、ルールづくりを「みのお市民社会ビジョン21ー自治体とNPOの新しい協働のあり方ー」としてまとめる。

2.協働の進め方のパターン

(1)パターンの分類

 われわれは、協働の進め方の基準として、大きく3つに着目した。一つは協働をする事前に、NPO と行政のどちらが主体性をもって、相手を巻き込んでいったかということ。次に、協働するテーマや時間として、限定・短期のものか、地域の総合的な活性化に至る長期のものかということ。そして3つめには、事後の評価として、どちらがどのように関わり続けているか、ということ。つまり、事前の主体性、経過のテーマ・時限性、事後の波及効果の3つにこだわった。タイプに分けることそのものが目的ではないが、協働の進め方にはそれぞれ特徴が見受けられた。

<事前のリーダーシップのあり方>

[1]行政が主導し、NPOにインセンティブを与える

 行政が主体性をもって、NPOを巻き込もうとするパターン

[2]NPOが主導し、行政にインセンティブを与える

 当初NPOが主体性をもって、行政を巻き込もうとするパターン

<協働の継続性のあり方>

[1]テーマ限定・時限型

 協働のテーマが限られ、期間的な制約がある協働。ビジョン・計画策定やイベント、円卓会議などの問題解決型等の協働活動で、期間・役割分担等が明確で、成果が分かりやすい。

[2]総合的地域活性化型

 地域が持続可能な発展をめざした協働活動。継続的で複数の目的をもちながら、また場合によっては変遷や発展をしながら、地域の活性化を協働で進めていく活動で、役割分担や成果が不明確になりがち。

<事後のイニシアティブのあり方>

[1]行政がイニシアティブ

 協働活動後、行政がイニシアティブを取り、活動を進めていくパターン。(NPOの活動が広く社会的に認識され、新しい公共サービスとして行政を巻き込むパターン)

[2]NPO(地域住民)がイニシアティブ

 協働活動後、NPOや地域住民がイニシアティブを取り、活動を進めていくパターン。(行政は、手を引き、NPOや地域住民に任せていくパターン)

[3]相互にイニシアティブ型

 協働活動後、行政・NPOがお互いに役割分担しながら、活動を継続していくパターン。

(2)複合的にみた協働のパターン

 複合的にみた協働のパターンとしては、全部で2×2×3=12通りが想定できるが、ここでは事後は省略し、次の4分類について、事例をみていく。

  1. 行政インセンティブ×テーマ限定・時限型
  2. 行政インセンティブ×総合的地域活性化型
  3. NPOインセンティブ×テーマ限定・時限型
  4. NPOインセンティブ×総合的地域活性化型

3.協働のパターンごとにみた事例の概要

[1]行政インセンティブ×テーマ限定・時限型

<事例1>ポイ捨て防止の市民参加のコーディネート
(仙台市、せんだい・みやぎNPOセンター)

仙台市は「ポイ捨て防止条例」制定に際して、市民意見の集約を行うにあたり、市民活動団体等に関する情報を豊富に持ち、行政と市民活動を結ぶコーディネーターの役割を果たすNPOと協働して、ワークショップの手法を使って、各種フォーラムの開催やキャンペーン、市民参加のしくみづくり等を行い、成果を上げている。

<事例2>門前川ゆめつな議
(村上トライアングル・新潟県村上市)

行政からNPOに市内を流れる門前川に架かる橋のデザインを市民参加のワークショップ形式で行いたいという要請があったため、NPOが中心となって地域住民の参加をコーディネートした。行政は民間と協働するパートナーシッププロジェクトとして位置づけ、予算をつけて市民参加のワークショップを5回行った。

[2]行政インセンティブ×総合的地域活性化型

<事例3>善通寺アダプション・プログラム
(善通寺市・市民団体)

道路、公園、河川等の公共施設の美化のため里親となる市民、市民団体、企業等がボランティアで管理する。市民と市が合意書を取り交わし、これに基づきお互いの役割分担を決め、継続的に活動していく。同時に環境美化に対する市民意識の醸成も図っていき、行政と市民が一体となった地域活動とする。

<事例4>図書館業務の一部を民間へ委託
(NPO法人 MCL(miyazaki city library)・宮崎市)

宮崎市とNPOが対等なパートナーシップのもとに協働関係を構築し、市民へのより良質なサービスを提供して市民に開かれた親しみやすい図書館づくりをめざして委託事業が行われている。図書館で開催される行事についてもNPOが自主的に企画・運営に参画している。図書館行政が行ってきた窓口業務や土日の行事について、広くボランティアが集まり、司書の仕事が軽減されたこと、市民一体となった図書館づくりが行われている。

[3]NPOインセンティブ×テーマ限定・時限型

<事例5>市民が運営するこどもの図書館
(NPO法人高知こどもの図書館・高知県)

NPO法人が高知県から場所を借り受け、民間で責任を持って運営するという条件で「こども図書館」を開館した。NPO法人が運営しているが、県にも「こども課」ができ、職員とNPOが何度も話し合いの場を持つことで、情報の共有や運営の現状がお互い把握できるようにしている。NPO法人のスタッフの他に、中学生から高齢者までの多くのボランティアが図書館運営に参加している開設してから5ヶ月間で登録者は1 800 人を超えたうち60%が子どもたちの利用である。

<事例6>シェルター事業やドメスティックバイオレンス
(DV:夫や恋人等からの暴力)の相談(NPO法人 かながわ女のスペース“みずら”・神奈川県)

神奈川県の補助金を受けて女性のためのシェルター事業を行っている。他にも県からの委託によるシェルター事業や女性への暴力相談事業等を行う。それら補助金を受けているような事業は個人のプライバシーに関することで、行政が扱いにくい問題であり民間で行う方が適当と思われることが多い。現在はシェルター入所申し込みが追いつかない状態。

[4]NPOインセンティブ×総合的地域活性化型

<事例7>米子工場を中心とした住民・企業・行政によるグランドワーク活動
(王子製紙(株)・彦名地区環境をよくする会・米子市)

地域を構成する住民・企業・行政の3者が協力して身近な自然環境を見直し、自らの手で地域の環境を改善し、美しく住みよいまちづくりをする活動を行っている。代表的な活動である使用済み割り箸を紙に再生する運動は全国的な広がりを見せている。各セクターの役割は市民団体が地域の具体的な環境改善構想案を企画・立案し、労力を提供。企業は資金的、技術的支援。行政は間接的な指導となっている。米子市内の企業26社が協働メンバーに連ねているのが特徴。

<事例8>グラウンドワークによる地域の環境改善
(NPO法人グラウンドワーク三島・企業・三島市)

市民・企業・行政が協働で環境悪化が進行した三島市の水辺環境の再生を図る。川の再生や動植物の保護などさまざまな実践的取組を行う。NPOが計画、人を集め、行政、企業がサポートしていく。事業を進めるにあたり多くの市民参加を新聞等で呼びかけ、大きな輪を広げることに努めており、自治会等との合意についても納得できるまで説明している。行政や企業ではとても採算の合わない住民主体の事業、グラウンドワークの専門性調整力を生かした事業として評価されている。

<事例9>路上生活者の自立支援や高齢者介護
(NPO法人自立支援センターふるさとの会・城北福祉センター)

路上生活者や高齢者の自立支援、雇用創出に向け、さまざまな活動を行う。自立支援センター事業では就労自活の展望がなく、簡易旅館やアパートで生活保護等を利用している高齢者を対象にデイサービスを行っている。他にも路上生活者や単身女性を対象とした就労支援や宿泊所事業を行っている。

<事例10> 行政と市民の協働事業の評価システム
(NPO法人評価みえ・三重県)

市民側からの声として、協働事業を市民の手で作り上げていき、そして、協働の評価も自分たちで行わなければいけない、という気運が盛り上がってきた。そこへ同様に考えていた行政側も積極的な協力体制を敷き、協働事業の内部評価、つまり事業を執行する主体としての市民の立場で評価するシステムづくりを行った。市民主体でシステムは考えられたが、行政も必要な情報を隠さず提供し、評価検討グループにも3名参加して検討を行った。

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