B 協働の条件・ルール
協働とは、お互いの立場を尊重した対等の関係で実施されるべきものであり、この点が十分配慮されないままに協働を進めても、NPOを下請け団体として利用することになりかねない。それを避けるためにも、協働に必要な前提条件やルールを明確にしておく必要がある。
1.住民参加と協働
では協働は、住民参加(言葉、制度等)とどう異なるのか。住民参加の一形態なのか、それとも別な概念と位置づけるのか。
わが国では、戦後以来、住民自治を進めるため、それを支えるシステムとして住民参加を進めてきたが、あくまでも行政主導による施策への参加であった。住民参加は必ずしも対等な関係であるとはいえなかった。
この段階の住民参加については、アーンシュタインの「住民参加のはしご」(1969年)がよく引き合いに出される。彼女の論によると、パートナーシップは、住民参加の6番目の段階であり、住民と権力者の間で決定に関するパワーが共有される、としている。
しかしこの考え方の背景には、住民は行政活動に参加するという側面があり、パートナーシップの概念が狭くなるのではないかという批判もある。
われわれが提起すべき参加とは、行政活動への参加にとどまらず、広く社会参加としての参加のことである。行政とNPOとが協働することで、行政領域のみへの参加にとどまらず、さらに広い公共部門に多くの住民が参加でき、社会参加が質・量ともに広がっていくことが大切である。
協働は、多くの住民の社会参加をダイナミックに促す効果的な手段であるといえる。
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■アーンシュタインの「住民参加のはしご」
- あやつり(Manipulation)
- セラピー(Therapy)
- お知らせ(Informing)
- 意見聴取(Consultation)
- 懐柔(Placation)
- パートナーシップ(Partnership)
- 委任されたパワー(Delegated Power)
- 住民によるコントロール(Citizen Control)
※この考え方に対しては現在、「参加の価値を計るには一面的で直接的な尺度過ぎ、順位にも疑問がある。」「行政活動への参加の領域を出ない。」「市民活動領域はもっと多様で複雑である。」等の批判
的な意見もある。
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2.協働の前提条件
協働が、お互いの変革を前提とした行動原理であるためには、そのための条件が求められる。
(1)行政側の必要条件
行政は、NPO支援の方向を明確にし、NPOとは何か、どう関わる必要があるかを学ぶ。公共サービスのうち、NPOができることはNPOに任せて手を出さない(NPOが積み重ねてきた歴史を踏まえないまま、行政の施策として内部化しない)。また、NPOを公正な競争の中に参加させていく。
(2)NPO側の必要条件
NPOは、行政の仕事を理解し、公共とは何かを学ぶ。またスキルアップを図り、足腰の強い、ミッションに基づく実践可能なNPOに育つ。そして住民の参加を促し、人々の多くの意見を代弁できる、そういう能力を高めていく。
つまり、主体が自立していること(自己の確立)。お互いの自主性を尊重していること。目標を共有していること。対等であること。情報の公開が尊重されていること。信頼で結ばれた緊張感のある責任分担関係を築くことを前提に、「共に学び」・「共に育ち」・「共に変わる」という姿勢・意識が必要である。そして、現実に、「学び」「育ち」「変わる」ことがなかれば、協働していく意味はない。
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■協働の原則例(横浜コード1998.9.)
- 対等の原則
- 自主性尊重の原則
- 自立化の原則
- 相互理解の原則
- 目的共有の原則
- 公開の原則
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3.協働のチェックポイント
協働について重視すべきことは、委託や補助とかの形態に関わらず、行為のプロセスのあり方や、成果である。形態でいうなら、NPOと行政とで一つの事業体を作ることも含まれる。協働を組み立てていく適切なプロセスを議論することにその価値がある。
協働を進めるにあたっては、NPOと行政の間に次のようなプロセスを踏まえることが必要不可欠である。
(1)事前の仕組みづくり
協働を行うための方針を明確にし、NPOと行政のお互いが取り組む姿勢や目的を明らかにしておく必要がある。
滋賀県では、「県民の社会貢献活動促進のための基本的な考え方」(前掲)で協働についての姿勢や目的が示されているが、実践段階ではNPOと協働する段階で、NPOと活動のルールを策定しておく必要がある。
参加機会が誰にも公平であるよう、開かれた協議の場を設定し、協働がなぜ必要か、その根拠を明確にしておく。行政は、施策を住民にいかに分かりやすく説明できるか、そのための努力が必要である。
(2)情報公開と共有
地域課題をお互いが共有し認識できるよう、お互いの持つ情報を常に出し合い、協働活動の共有の目標を設定できるようにすることが重要である。
(3)責任分担(役割分担)
共有する課題や目標の達成に向けて、お互いが活動する領域を選択し、共同体として取り組むべきことや、それぞれが取り組むべきこと等の、役割と責任分担を明確にしておくことが重要である。
(4)説明責任
目標達成のための計画書や、その計画をどのように進めるかの工程表を作成するとともに、実行のための協働ルール(協働の手法や契約等の条件)を示した協定書(契約書)をお互いの合意のもと、作成する必要がある。協働事業の実施にあっては、計画書や工程表に基づいたものとなっているか、透明にし、お互いに管理していくことが必要である。
また事業に関わる関係者と第3者に対して、適宜、説明責任を果た していく(プロセスの管理)。
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■みえパートナーシップ宣言(1998.10月)
- 自立した市民が中心の社会をつくる夢を共有します。
- 一人ひとりができる範囲で責任ある行動をします。
- それぞれに違う立場と利益を認めあい、連携します。
- 誰もが自由に選択できる開かれた活動を行います。
- 広く情報を公開し、活動の中に循環させます。
- あらゆる変化へ柔軟に対応し、積極的に行動します。
- どんな活動も地球に貢献する大切な活動であることを自覚します。
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(5)協働の評価
協働は、事業が終了すればそれで達成できたというものではなく、事業が終了した時点で、事業の目標設定からプロセス、成果を評価し、次につなげていくことが不可欠である。
協働の評価の前提となるのは、NPO自身の自己評価、行政の施策評価が内部評価として定着していくことが必要である。
お互いの評価の上に、NPOと行政との協働による指標づくり、評価システムづくりが必要である。またその評価は、客観性を確保するために、外部評価を必要とする。
しかし、評価そのものが目的ではなく、協働によって地域が発展していく可能性を見つけていくことが重要で、評価はそのための尺度であらねばならない。
協働の評価指標の設定等、評価手法については、現在各地で検討されている。
4.基盤整備
協働を進めるためには、そのためのインフラを整備していく必要がある。
具体的には、NPO支援(コーディネーターシステムの検討、公募プロジェクトの実施、中間支援機関の設置等)やNPOとの交流(人材の養成、NPOへの職員派遣等)、協働準備のための指針・制度づくり(既存施策の協働可能性チェック、情報公開、モデル実験プロジェクトの実施、協働マニュアル・事例集の作成、協働評価システムの検討等)、既存事業の協働化による見直し(職員研修、計画策定や委託業務の見直し等)等の基盤整備がある。
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■コミュニティシンクタンク「評価みえ」による
NPO事業評価システム2000(資料5)
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(393KB) |
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