多様で複雑な地域課題
21世紀を迎え、わが国は、地球環境問題や少子高齢化に伴う社会経済情勢の変化、経済の低迷など多くの問題を抱えており、地域社会の活力の低下など様々な課題を抱えている。
これらの多様な地域課題に対して、これまでの行政主導による課題の解決策には限界がみえ始めており、市民主体あるいは市民参加による問題解決に向けたアプローチが始まっている。
平成12年4月に地方分権一括法が施行され、行政には政策形成能力を高め、さらに効率的な行財政運営を進め自立していくことが必要であり、一方、住民側にも地域課題を自ら解決できる自治能力の強化が必要となっている。
このような中で住民のニーズにきめ細かく対応できるNPOに大きな期待が寄せられるようになった。
平成10年12月、特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)の施行によって、各地域には新しくNPO法人が今では約3,000団体以上も誕生しており、新しい公共を担う市民セクター(行政、企業に続く第3のセクター)として注目されはじめている。先行的な地域ではNPOと行政とのパートナーシップ(以下、協働という)によるまちづくりが始まっている。
1. 市民のエンパワーメントを通じた地域社会の活性化、そのためのプロセスが協働
協働とは、行政と住民、NPOが協力し合って、単独では得られない、質の高いサービスを提供することといえるが、協働それ自体が目的ではない。基本的には何のために協働するのかということを考える必要がある。すなわち協働を通じて地域社会のソーシャルエナジー(地域社会・コミュニティの活力)を高めることが一番重要なのである。
そしてこれら地域の活力を向上させ、地域課題を解決していくには、市民のエンパワーメントが鍵となる。市民が力をつけることを通じて高い自治能力を実現することがこれからの地域社会には不可欠であり、協働はこのエンパワーメントの具体的なプロセスである。
つまり、公共的なサービスの権限や機能を市民セクターへ委譲し、住民自治領域を拡大していくこと、そのために協働を進めていく必要がある。協働の結果として地域住民、NPOによる住民自治システムの構築をめざす。
■地方分権一括法
475本の法律改正を一括形式で行い、平成12年4月から施行。主な改正は、機関委任事務制度を廃止し、自治体が自らの責任と判断で実施する「自治事務」が明確に位置づけられる。また、国からの自治体への関与も法令に根拠を持たないものは認められなくなり、権限委譲も推進されるなど、地方分権の推進をうたっている。 |
2.行政改革・役割分担の明確化、そのためのプロセスが協働
協働のもう一つの目的は、行政の役割を根本的に見直し、行政セクターと市民セクターの関係を明確にすることによって、ひいては行政改革・財政改革を推進していくことである。行政は、その自己改革と、責任領域の明確化などによって、真に質の高い公共サービスの提供をめざす。
また、NPOにとっても協働することで、自己変革を図り、社会的信用を増し、レベル向上を果たすことができる。協働を通じて、地域住民に信頼されるセクターとして成長していく必要がある。
協働の結果として、各セクター間の役割分担が明確になり、分権社会の実現と地域の最適な政府の確立をめざす。
■NPO(民間非営利組織(団体))をめぐる諸概念の構成
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本レポートは、これら2つの大きな目的達成に向けてNPOと行政等との協働の実践を促進していくため、協働の定義や条件についてまず整理し(第1章)、ついで海外・全国・滋賀県での協働の事例と課題を分析し(第2章)、手法や運営の方法等の滋賀県協働モデルの検討を行い(第3章)、最後に、協働のための滋賀県の施策課題(第4章)を提案している。また実践のための参考となるよう、実践事例を紹介している。
なお調査研究の目的と制約から、企業とNPO、企業と行政、企業とNPOと行政の組み合わせについては、検討の対象外として、ここでは割愛した。