これまでも地縁的な相互扶助活動や篤志家による慈善的な活動がありましたが、特に昭和21年の糸賀一雄氏をはじめとする数多くの人たちによる近江学園の創設や、昭和47年の近江八幡市の八幡堀の修景保存活動、昭和53年以後の「びわ湖を守る粉せっけん使用推進県民運動」などは、全国に先駆けて行われた社会貢献活動であったといえます。
さらに、昭和62年に第一びわこ学園の移転新築の支援を目的に、琵琶湖を舞台に展開された「抱きしめてびわこ」の活動、昭和63年からの長浜市の「黒壁」を中心としたまちづくりの活動などがあげられます。
(1) 活動団体の現状と課題
現在、県内各地で行われている社会貢献活動の現状は、その活動自体が自主的な活動であるため、必ずしも明確にはなっていませんが、平成7年度に県が実施した「県民活動とその活性化に関するアンケート調査」、平成8年度に経済企画庁が全国規模で実施した「市民活動団体基本調査」、平成9年度に県が実施した「県民活動調査」の3つの調査から県内における活動の概要を見ていくことにします。
「市民活動団体基本調査」によれば、表−1に示すとおり、社会福祉分野の活動を行う団体が最も多く、続いて教育・文化・スポーツ分野の活動、以下、地域社会での活動、環境保全のための活動となっています。全国と比較すると、社会福祉が6.4ポイント、教育・文化・スポーツが4.4ポイント、環境保全が0.5ポイント高くなっており、逆に地域社会は4ポイント低くなっています。
| 表−1 団体の活動分野 (県n=1,951 全国n=4,152) |
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( )内の数字は全国での割合
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| 社会福祉 |
43.8%(37.4%) |
国際交流・協力 |
3.5%(4.6%) |
| 教育・文化・スポーツ |
21.2%(16.8%) |
保健・医療 |
2.6%(4.7%) |
| 地域社会 |
12.9%(16.9%) |
その他 |
5.5%(5.7%) |
| 環境保全 |
10.5%(10.0%) |
無回答 |
0%(4.0%) |
また、「県民活動とその活性化に関するアンケート調査」によれば、活動の区域については、約半数の団体がその所在する市町村の区域内で活動を行っています。
「県民活動とその活性化に関するアンケート調査」および「県民活動調査」によれば、活動団体が抱えている課題としては、会員の減少、リーダー的人材の不足、資金の不足、活動のマンネリ化など人材・資金・組織運営についての課題が多くなっています。
また、行政との関係での課題としては、活動の呼び水的資金などの支援不足、行政からの依頼事項が多いこと、職員の活動への無理解などとなっています。
その他、地域社会での社会的認知の向上、情報発信・情報収集の手段の確保、事故に際しての不安などが課題としてあげられます。
このことから、県には活動団体の社会的な認知を高めることや活動を支える環境整備等を行うことが求められており、市町村も活動団体の身近な行政として同様の役割が期待されます。
また、ボランティアセンターなどの支援機関については、既に県や市町村で整備されつつありますが、今後は各機関相互の連携を深めるとともに、個々の活動団体で抱える個別の課題に対して具体的な支援を行っていくことが求められます。
一方、活動団体にあっては、自らの活動を社会にアピールするとともに、活動に必要な資金を団体の収益事業などから得る方法も検討していくことが期待されます。
(2) 県民の活動参加の現状と課題
県民の社会貢献活動への参加状況等については、県が平成10年度に実施した「滋賀県政世論調査」によれば、ボランティア活動などの自主的で社会的な活動に「現在参加している」は26.4%になっており、「現在参加していない」は71.9%となっています。
一方、今後の参加意向については、「参加したい」が16.0%、「条件が整えば参加したい」が53.9%となっており、これらを合わせると参加意向のある人の割合は69.9%となっています。
表−2 活動への参加状況 (n=1,244)
| 現在参加している |
26.4% |
| 現在は参加していない |
71.9% |
| 無回答 |
1.7% |
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表−3 今後の参加意向 (n=1,244)
| 参加したい |
16.0% |
| 条件が整えば参加したい |
53.9% |
| 参加したいとは思わない |
23.2% |
| 無回答 |
6.9% |
|
現在、参加している活動の内容としては、表−4に示すとおり「PTA活動や子ども会活動など子どもの健全育成を進める活動」が最も多く、次いで「自分たちの住む地域を住みやすくしていこうとするようなまちづくりの充実を進める活動」、「高齢者・児童・障害者等福祉、健康づくりなどの福祉、保健医療の充実を進める活動」となっています。
| 表−4 参加している活動の内容 (n=328・複数回答) |
| PTA活動や子ども会活動など子どもの健全育成を進める活動 |
29.3% |
| 自分たちの住む地域を住みやすくしていこうとするようなまちづくりの充実を進める活動 |
25.0% |
| 高齢者・児童・障害者等福祉、健康づくりなどの福祉、保健医療の充実を進める活動 |
23.5% |
| 文化、芸術またはスポーツの振興を進める活動 |
19.5% |
| 自然保護、リサイクルなどの環境の保全を進める活動 |
19.2% |
| 自主防災、防犯、交通安全などの地域での安全活動 |
18.0% |
| 社会人に対する教育、図書館・公民館活動などの社会教育の充実を進める活動 |
5.8% |
| 災害救助などの災害救援活動 |
4.9% |
| 人権の擁護または平和の推進のための活動 |
4.6% |
| 国際交流、発展途上国への救助などの国際協力の活動 |
4.3% |
| 男女共同参画社会の形成を進める活動 |
2.4% |
| 上記の活動を支援するような活動 |
5.5% |
| 上記以外の活動 |
1.5% |
| 無回答 |
6.1% |
今後、自分が参加したい活動の内容は、「高齢者・児童・障害者等福祉、健康づくりなどの福祉、保健医療の充実を進める活動」が40.4%で最も多く、次いで「自然保護、リサイクルなどの環境の保全を進める活動」が38.6%で続き、以下、「自分たちの住む地域を住みやすくしていこうとするようなまちづくりの充実を進める活動」が35.0%となっています。
また、参加したきっかけは、「職場や学校、地域の行事の一環として参加した」が46.6%で最も多く、次いで「何か社会の役に立ちたいから」、「自分の住む地域は自分で住みやすくしたいと感じたから」がともに25.6%、以下、「活動を通じて友人や仲間を増やしたいから」が18.9%となっています。
今後、どのような条件が整えば活動に参加するかについては、「友人や地域の人など、身近な人と一緒にできる」が54.4%と最も多く、次いで「わずかな時間を利用してできる」が48.2%で続き、以下、「趣味や特技が生かせる」が36.9%、「必要な専門的知識を身に付ける研修・講座が用意される」が24.9%、「職場や学校、地域での行事として行われる」が17.5%となっています。
前述のとおり、現在活動に参加している人の割合は26.4%に対し、今後、活動に参加したいとする人は69.9%と高い比率を示しており、潜在的な参加意欲を活動に結びつけていくことが重要です。
(3) 企業の社会貢献活動の現状と課題
企業においても、地域社会の一員として何らかの形で社会貢献をする必要があるという認識が広がりつつあります。
本県の企業の社会貢献活動の現状については、平成7年度に滋賀県社会福祉協議会が県内企業に対して実施した「企業の社会貢献活動に関する意向調査」によれば、社会貢献活動を実施している企業は87.5%に及び、支援の方法は、「金銭の支援」が94.1%、「労力の支援」が47.9%となっており、支援内容は、「災害援助」が79.4%、「社会福祉」が71.6%となっています。
また、活動に取り組んだ背景は、「社会の一員としての責任」が81.8%、「利益の一部を社会に還元する」というのが22.6%となっています。
一方で、活動を行う上での課題としては、「コストがかかる」が20.8%、「効果が見えない」が18.4%、「企業活動に支障がある」が17.8%となっています。
また、社会貢献活動をしていない理由については、「利潤をあげている企業だけがやれば良い」が15.5%、「必要性が理解できない」が13.8%、「行政がやるべき」が6.9%となっています。
従業員がボランティア活動をする場合の支援状況については、「支援している」は30.8%で、その内容は、「就業時間内の活動許可」が51.3%、「施設・設備等の開放」が22.5%、「ボランティア活動に伴う実費支給」が21.3%となっており、「ボランティア休暇制度」は16.3%となっています。
なお、本県では、平成8年3月に全国に先駆けて県内の企業や団体等で社会貢献活動を進めていくことを目的として「淡海フィランスロピーネット」が設立され、積極的な活動が展開されています。
今後、企業がボランティアやNPOを支援し、自らも積極的に活動を行うこととなれば、社会貢献活動はますます大きく広がっていくものと考えられます。このため企業には社会貢献活動に対してより一層の理解が求められます。