戦後、わが国は、世界に例を見ない経済成長を成し遂げ、私たちの暮らしは大変豊かになりました。
しかし、21世紀を目前に控えた今日、少子・高齢化、国際化、高度情報化の進展、経済のグローバル化の進行など社会経済情勢のめまぐるしい変化に対して、行政や企業による対応の行きづまりが顕在化してくるなど、わが国は大きな転換期を迎えています。
また、社会が成熟化するにつれて、量的・物質的な豊かさから質的・精神的な豊かさや環境への配慮を求める方向へと人々の意識や価値観の変化が進行するとともに、これまで以上に自己実現欲求を満たすことに重きが置かれ、人々は個性的で自分らしい生き方ができる社会を求めるようになってきています。
このような流れのなかで、自分たちの力で社会の一翼を担っていこうというボランティア活動やNPO活動※などの民間非営利活動に、人々の多様なニーズに対応することができるという大きな期待が寄せられるようになってきています。また、阪神・淡路大震災の際のこうした活躍をきっかけとして、平成10年12月1日には「特定非営利活動促進法」(いわゆるNPO法)※が施行され、その期待はさらに高まっています。
滋賀県も、戦後の高度経済成長期を経て、全国でも有数の内陸工業県として発展し、経済的に豊かな県となりましたが、一方で、私たちの生活に多くの恵みを与えてくれる琵琶湖の水質を急速に悪化させるなどの問題も見られるようになりました。そのようななかで、琵琶湖の水質を改善するための活動や、誰もが住み慣れた地域で暮らせるようにする地域福祉の活動、また、暮らしを自らの手でより良くしていくまちづくりの活動など、県民が主体となって豊かな地域社会をつくっていこうとする取り組みが熱心に行われ、本県も「新しい淡海文化の創造」を提唱するなかで、これらの活動を支援してきました。
今後、さらに人々の意識や価値観が多様化し、少子・高齢化の進行や地球規模の環境問題の深刻化などが予想されるなか、真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、人々の思いが社会に反映され、ニーズによりきめ細かく対応できるよう、これまで私たちの社会を支えてきた行政や企業中心の仕組みを早急に見直していく必要があります。
| ※NPO活動 2社会貢献活動の定義参照
※特定非営利活動促進法(NPO法)
阪神・淡路大震災のボランティア活動をきっかけに、平成10年3月に成立した議員立法。 災害救援や福祉、環境保全等公共的な活動を行う民間非営利団体に法人格を与え、資金管理や運営面での便宜を図ること等によりその活動を支援しようとするもの。 |
本県では、これまでから、まちづくりをはじめ、環境、福祉・保健医療など様々な分野で数多くの自主的な社会貢献活動が行われてきました。その中には、「琵琶湖富栄養化防止条例」の制定にもつながった、いわゆる「せっけん運動」のように全国的にも評価される活動もあります。しかし、県内での活動の多くは、必ずしもその活動基盤が十分なものであるとはいえません。
県民の思いが社会に反映され、県民の多様なニーズが充たされるためには、行政や企業だけでなく、県民の自主的な社会貢献活動がより活発となり成長していくことが望まれます。
県では、こうした活動が社会の利益につながる公共的な活動であるとの認識から、活動の自主性を尊重したうえで支援することとし、次のような社会の実現をめざして、県民の社会貢献活動を促進するための県の基本的な考え方や施策の方向を示すこととします。
○県民一人ひとりの思いが反映できる社会
県民の多様性を認め合い、社会貢献活動を通じて、一人ひとりの思いが反映できる社会をめざします。
○県民の多様なニーズに応える社会
社会経済情勢の変化や価値観の多様化などに伴う県民のニーズに対し、行政、企業、活動団体がそれぞれの特性を生かすことにより、県民誰もが身近なところでニーズを満たせる社会をめざします。
○行政と県民との新しいパートナーシップが築かれた社会
行政と県民がそれぞれの自己責任を自覚したうえで、対等で良好なパートナーシップが築かれた社会をめざします。